書籍一覧 新刊
桐谷征一
『宮沢賢治と文字マンダラの世界 ―心象スケッチを絵解きする』
桐谷征一氏は、長年にわたり雑司ヶ谷で日蓮宗本納寺住職を務め、中国石刻経の研究や中国仏教史の分野で世界的にも知られる仏教学者である。そんな桐谷氏は若い頃から半世紀近くもの間、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の最後に記された「文字マンダラ」と日蓮の「マンダラ本尊」からの影響について研究を重ねてきた。(鈴木比佐雄・解説文より)
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A5判/400頁/上製本 ISBN978-4-86435-482-0 C1095 |
定価:2,750円(税込) |
発売:2021年3月31日
目次
序文 渡邊寶陽
はじめに
一、浄土門か聖道門か
1.父政次郎の浄土信仰
2.島地大等と天台宗の法華教学
3.「赤い経巻」との邂逅
4.浄土門と聖道門とのはざまで
5.法華信仰の道へ
6.「菩薩」へのあこがれ
7.惨憺たる「戦」
二、心友保阪嘉内との交換
1.「心友」の交わり
2.一握の雪
3.母を亡くした友に
4.求めることにしばらく労れ
5.今泣きながら書いてゐます
6.悶々たる日々
三、法華信仰の理念と実践
1.南無妙法蓮華経とは何か?
2.賢治の「一念三千」入門
3.日蓮の「一念三千」観
4.日蓮「文字マンダラ」の成立
文字マンダラの発想/真言密教マンダラの超克/日蓮「文字マンダラ」の構成
四、国柱会入信
1.微かなる足音
2.国柱会の成立とその主張
3.摂受か折伏か
『摂折御文・僧俗御判』を編む
4.私は入会致しました
5.智学の日蓮主義に酔う
6.御本尊の授与
7.出奔―花巻駅五時十二分発
8.かくて「心友」への折伏は達成されたが
9.国柱会の残影―その期待と失望
その後の国柱会と賢治/「五つのマンダラ」が訴えるもの
五、賢治マンダラ世界の発見
1.新たなる旅立ちへ―「宗教と芸術」
制作年月日へのこだわり/抹消された三首の短歌
2.「心象スケッチ」の誕生
「春と修羅」序をよむ/「心象スケッチ」という文学的手法―『春と修羅』―/山川智応の存在
3.賢治と日蓮の文字マンダラ
文字マンダラは「図」― 十のポイント/記号論としての「文字マンダラ」
六、賢治マンダラ世界の開放
1.賢治マンダラ世界の開眼―創作の秘密―
童[インドラの網]/童[土神ときつね]/童[銀河鉄道の夜]/詩[〔温く含んだ南の風が〕]
「第四次元」/「装景」/「自由画検定委員会」と「風景観察官」
2.賢治マンダラ世界の開花
賢治マンダラ世界の把捉/演出としての「隠し」/ずっこけた賢治の夢/賢治文学の魅力と難解/
達意の名訳と妙訳/「虔十」と「賢治」
3.遥かなる求道の旅
永遠なる「菩薩」/詩「雨ニモマケズ」の生き方/賢治と「不軽菩薩」
七、賢治マンダラ世界の社会展開
1.賢治マンダラ世界を回顧する
2.「或る心理学的な仕事」の謎
3.「農民芸術概論綱要」
4.賢治の「立正安国論」
5.羅須地人協会
6.父政次郎へ最後の願い
八、われやがて死なん
1.生と死を見つめて
2.「一九二九年二月(仮称)」
3.「雨ニモマケズ手帳」短見
4.法華信仰貫徹
永眠/父母あての遺書と、弟妹あての告別のことば/「絶筆」二首/遺言
付録 文字マンダラを絵解きする
一、はじめに
二、始顕本尊の成立とその「前」「後」の問題
1.佐渡在島中の日蓮聖人/2.「始顕本尊」の内容とその特徴/3.「始顕本尊」以前の本尊/
4.「始顕本尊」以後の本尊
三、日蓮における「文字マンダラ」発想の動機について
1.発想の動機について/2.「文字マンダラ」における図法の意味/3.「文字マンダラ」の基本構図
四、「佐中」から新たな問題提起
1.「文字マンダラ」(大曼荼羅本尊)と「観心本尊抄」との関係について/
2.「日女御前御返事」は偽撰か/3.国柱会「ご本尊」の原本の問題/4.「宗定本尊」の呼称について
五、日蓮「文字マンダラ」の特色とその意義
1.そもそも、マンダラ(mandala 、曼荼羅、曼陀羅)とは何か/2.〈文字マンダラ〉が、なぜ図なのか/
3.〈文字マンダラ〉には、何が描かれているのか/4.「題目」は、つねに中央が定位置/
5. 文字マンダラには「板曼荼羅」がない―形態の多様性の問題―/
6.なぜ、ことさらに「不動・愛染」なのか/7.「讃文」の意義とは何か/
8.「経文・要文」の役割とは何か/9.なぜ、文字マンダラは装飾的なのか/
10. だから、文字マンダラは「ご本尊」
宮沢賢治 宗教思想と文学略年譜
解説 鈴木比佐雄
あとがき